そんなリィを嘲笑うかのように、それは現れた。

倉庫の屋根から音もなく舞い降りてきた影は。

「!!」

咄嗟に飛び退いたリィの立っていた位置に、鋭い爪を振り下ろす!

アスファルトが抉れるほどの、鋭く硬い爪。

地面を一回転して立ち上がり、向き直るリィ。

素早くクローリスを向けるものの。

「っ…」

既に影の姿はない。

両手でクローリスを保持し、忙しなく銃口を動かす。

どこだ、どこへ消えた?

軽く歯噛みして、神経を研ぎ澄ませるリィの背後に。

「……」

影は静かに忍び寄る…。