「時間だ」

同刻、中等部2年の教室。

琴月 琥珀(ことづき こはく)は立ち上がる。

スタスタと廊下を歩き、到着した先は夕城道場。

いまや入門者殺到の天神学園最大規模の部活だ。

サッカー部や野球部より武道が人気な辺り、この学園の性質が窺える。

「失礼します、琴月 琥珀入りまーす」

一礼して道場内に入る琥珀を。

「む」

「琥珀、今日も時間通りアルな」

天神学園武闘派教師陣にして、新しい夕城の道場主である夕城 瑠璃(ゆうしろ るり)と夕城 鬼龍(ゆうしろ カイラン)夫妻が出迎える。

この夕城道場というのは一風変わっていて、瑠璃教諭が剣術を、鬼龍教諭が中国拳法を指導する。

かつては瑠璃一味の多くもここで武道を学んだという。

琥珀の父、琴月宗主の琴月 孔雀(ことづき くじゃく)も。