「先輩…いい加減機嫌直してくださいよ」


「いや」


私は即答する。

だって…

今は電車の中。
永井君は私に機嫌を直してくれと言っているが彼は今どこを見て言っていると思う?

それは…またスマホだよ!?
そんなことしながら言われても機嫌直したくなくなってしまう!

ひとり心の中で怒りながら私もスマホを取り出す。

あるチャットをひらき、通知がきているか確認をした。


「あ、先輩今更なんですが連絡先教えてくださいよ」


私がスマホを触っていることに気が付いたのか言ってきた。

正直私はまだ永井君を許していない。
でもこのままだと会話が進まないし、大人げなくなってきた。

機嫌を直そう。


「いいよ、そういえば交換してなかったね」


「あ、はい…」


「え、どうしたの?」


何か言いたそうな顔をして私を見る。


「いや、先輩が機嫌直してくれたんで。もしかしたら今日はこのままずっと怒っていると思ってました」


ちょっとホッとしたような表情をしていた。


「わ、私もそこまで子供みたいなことしないもん」


気にしてくれてたのかな?
だとしたら嬉しいかも…。


「そうですか?俺の中の先輩は子供の中の子供ですよ」


前言撤回!

全然そんなこと思ってなかった!!


「永井君のバカ!もう連絡先教えないから!!」


「ええ!?冗談ですって!教えてくださいよ!」


電車の中ではそんな会話が何回も続いたのだ。