あれからどのくらい時間が経ったのだろうか。

下校を知らせるチャイムが鳴り、私は顕微鏡の片づけを始める。


「先輩、なんか手伝うことはありますか?」


「んーじゃあ、そこの窓しめてもらえる?」


「了解っす」


あまり活動という活動はしない永井君だけど、こういう片づけとかになるとちゃんとしてくれる。


「ありがとう」


「いやいや、俺なにもしてないんで」


ははっと笑いながら鞄を持ち、科学室を出た。

私も後から続いて科学室を出て、カギを閉める。


これで今日の部活も終了。


「永井君お疲れ様、私職員室にカギを返してから帰るから先に帰っていいよ?」


少し薄暗くなった廊下に私の声が響いた。

前を歩いていた永井君は振り返って


「俺待っときますよ。あ、それとも俺が返してきましょうか?」


手を伸ばしてそう言った。


「え、いいよ。私部長だし永井君は帰っていいよ?」


「じゃあ、待っときます。せっかくなんで一緒に帰りましょうよ。電車一緒だろうし」


どうやら一緒に帰るみたい。

まあ1人で帰るのは寂しいし、薄暗くなってきた外を歩いて帰るから永井君がいてくれたら安心する。


「じゃあ、私返してくるね。待ってて」


「はい、靴箱のところにいるんで」


「うんわかった」


そう言い残して私は職員室に小走りで行った。




「ちょっと先輩に聞きたいことがあるし…」