【神菜side】

「おお!よく見える!」

ここは科学室。

放課後そこでひとり顕微鏡をのぞいて、日課となる生物観察をしているのは私、佐野神菜。

青葉高校2年生。生物部部長。


すごい!アメーバの細胞ってこんなのなんだね…!


感動しながら数分間観察を続けていると、科学室の扉がガラッと開き後輩が入って来た。


「先輩…また生物を見てるんですか?」


ちょっと引き気味で私に言ってくる後輩。彼は永井和希君。

栗色で少し癖毛の髪、体系も小柄の方でどちらかと言ったら可愛い系男子。

身長も私とそんなに変わらないかも。

永井君は私の隣に椅子を持ってきて座り、机に肘をついて言う。


「今日はアメーバを見てたんすか?」


「え、なんでわかったの?」


私がそう聞くと永井君は前にある黒板を指差して「あれ」と言った。

黒板には大きく『今日の観察 アメーバの細胞!!』と書いていた。

あれを書いたのは間違いなく私だ。

あーなるほどね。よく見てるなあ。


「永井君も見る?」


「いや、俺はいいです」


な、即答できっぱりと断られたよ・・・!

永井君は鞄からスマホを取り出していじり始める。

この子・・・生物部だよね!?

永井君はいつもそうだ。

部室に来てはスマホをいじって、活動をしていない。


ここは部長の私が何とかしないといけないよね!?


「永井君、君はそれでも生物部か!」