「話ってなに?」



私は中庭の倉庫裏に連れて行かれた。
なんとなく嫌な予感はする。



「なんでてめーみたいなクズが先輩
 と付き合ってんだよ」

「早く別れてよ。おばさん」
 




どうやら私を呼び出したのは
一年の後輩みたい。

六人の後輩達は私を取り囲むように
並んでいる。


怖い顔…


私は六人の真剣な顔を見て、ふと
思った

彼女達は本当に西野先輩が好き。
私は好きでも無いのに西野先輩と
付き合っている。


あは…そうだなー

クズって言われて当たり前だよ。
私は最低な事してるんだから。



「おい、なんか言えよ?
 聞こえねーのかよ?」

何も言えない私に一人の子が
苛立ち私の髪を片手で掴んだ。


「いたっ、、…」


私が小さく呟くと他の子達が笑う。





でも何も言い返せない。
自分がこの人達以上に最低な事を
してるのを分かってるから。


「お人形みたーい!全然喋らなくて
 何されても抵抗しなーいブサイクで
 最低なお人形さん♪」


私の髪を掴んでる女の子がそう言いながら
私を見下ろし笑ったかと思うと
お腹に膝蹴りをしてきた。



「けほっ…うっ」


私はその場にしゃがみこみ
お腹を押さえる。



「何か言いなよ?ほらー?
 おばさんの意見も聞きたいの。ね?」



ずっと立ったまま見てた子が私の
前にしゃがみ髪をぐしゃくじゃと
撫でてきた。



「ごめんね」



本気で西野先輩と付き合いたいって
思ってる子いるのに、こんな私が
付き合ってごめんね。


私は小さく謝った。



「何謝ってんだよ?
 じゃあ別れろよ。別れますは?
 そしたら解放してあげるよ」





私は首を横に振る


それは無理。今はまだ無理なの。





撫でてた女の子がキレて私の髪を
掴み倉庫の壁に私の頭を思いっきり
ぶち当てた。



「別れるって言わないからだよ?」



私はあまりの痛さに頭を両手で抱え
やっとの思いで口を開く。



「し…ば…助けて…柴…」



気づいたらあの人の名前を呟いてた。
絶対助けに来ないって分かってる
はずなのに。


でも
あいつの名前を呼ぶだけで
胸がどきどきしてくる。
助けに来てくれるって本気で
信じてしまう。



そんなのありえないのに。




「あ?なんて?しば?」


女の子が首を傾げたと同時に





「おい、お前ら何してんだよ」










ヒーローが来てくれた。