沙耶自身、実の祖母に散々やられてきたので、身内、という言葉の意味をなんとなく理解できた。
「そう言われても…」
沙耶は返答に窮してしまう。
一度困ったように俯いてから、顔を上げ。
「なんでこんなに私に執着するのかわかりません。だって、私あいつと初対面でワインぶっかけたんですよ?しかも、あーいう奴なら恨みの一つや二つ買ってたって、おかしくないし。もし殺されても、自業自得ってやつですよ。」
自分で自分の言った事にうんうんと頷く沙耶。
「実はそれが一番の理由なんです。」
「へ?」
坂月が腕組みをして、視線を天井らへんに向け、考える風な仕草をした。
「石垣は、プライドが高い人間です。秋元さんがしたことだって、普段なら即東京湾に沈められてもおかしくない。」
ムカ、とした心を沙耶はなんとか抑える。
沈められる前に私が沈めてやるわよ、と思いながら。
「それなのに、ホテルの人間も、秋元さんの友人に対してもお咎めなし。何もなかったかのようになっている。マスコミもねじふせられていて、話は外に出ていない。」
沙耶はまるで名探偵のように推理している坂月を見つめ、ハテナを頭に浮かべた。
「そして、貴女を八方塞にして、自分の手元に置こうとする…秋元さん、石垣の弱味でも握ったんですか?」
「まさか、そんなわけないですよ。」
沙耶は思わず苦笑いして返す。


