―育ち盛りだから、もっと沢山タンパク質を取らせて上げなくちゃいけないのに。
気がつくと、考えることはいつも同じ場所。
職なし、家なしの事実に、頭を悩ませる。
―これから、どうしよう。
夢の様な食卓を前にして、沙耶はナーバスになった。
「大変、、おこがましいこととは、重々承知の上で、発言させていただきますが―」
「はいっ!?」
坂月の声で、沙耶のぶっとんでいた思考が、今に戻った。
見ると、坂月が畏まっている。
「ですから、、おこがましいことだとはわかっている上で、お願いがあるのです。」
「―え?」
口の端にガトーショコラの食べかすを付けたまま、沙耶はきょとんとして、目を瞬(しばたた)かせた。
「その、、、お父様の形見をですね、、直す代わりに…」
ごにょごにょと言うので、沙耶は聞こえづらく、思わず耳を近づける。
と、坂月は急に意を決したようにはっきりと。
「石垣のっ、秘書になっていただけないでしょうか!?」
沙耶の耳の鼓膜が、破れるかと思う位。
大きな声で言い切って、勢い良く、頭を下げた。


