シンデレラは硝子の靴を



予想していなかった事実に、坂月ははっとした表情をし、狼狽える。




「いや、、、本当に、、言葉が見つかりません…。それは、、申し訳ないことを…」




「そんな、坂月さんが気にすることじゃありません。諸悪の根源はなんて言ったってアイツなんですから!」




沙耶は慌てて手を振って、何度も頭を下げようとする坂月を止(とど)めた。





「いや、私の責任です。…そうだ、腕の良い職人を知っていますから、そこに頼めば、きっとキレイに直してくれる筈です。」




「え、本当ですか?」




坂月の提案に、諦めかけていた沙耶の表情に灯りが点る。




「ええ。ただ…」



そこまでいうと、坂月は複雑な顔をして、言い淀んだ。




「?何ですか?」




沙耶が首を傾げる。



だが、坂月は沈黙して、床と睨み合いながら、何かを逡巡している。




仕方なく沙耶はデザートに手を伸ばし、限りなく満腹中枢を満たしていく。




その美味しさと使用されている食材の質にうっとりしながら、弟の駿にも、母にも食べさせたいなと考えた。



駿には昨晩一応メールを打っている。



今朝も、さっき「帰れない」旨をメールにしたためたから、恐らく残り物か、クビになる前にコンビニの廃棄処分の中から厳選した、期限切れの菓子パンか何かに手をつけていることだろう。