シンデレラは硝子の靴を


坂月が目を瞬(しばたた)かせながら、沙耶を見ると、その白い肌がみるみるうちに紅くなっていく。



またへそを曲げられては困るので、坂月は笑いが込み上げてくるのをなんとか噛み殺し、努めて平静を装う。




「…ほら、食べてください。」




恥ずかしさで観念したのか、坂月が再び勧めた皿を、沙耶は今度こそ、受け取った。




「あ、そうでした・・・」



アプリコットティーの香りが、部屋を満たし、沙耶の食事も進んできた所で、自分は食べずにその様子を見ていた坂月は、思い出したように声をあげた。




「大体、わかるのですが、確認だけさせていただきたいのです。昨晩、石垣と何があったんですか?」




沙耶は食事の手を休めることなく。




「…秘書になれって言われたんで、絶対嫌だって断ったら、私の服をナイフで切られました。」



淡々とした口調で答えた。





「あの馬鹿…」




坂月は思わず頭を抱えて呟くが、沙耶の耳には届かない。