「落ち着かないですか?」
「…はい…」
坂月の問いに、沙耶は素直に頷いた。
「申し訳ないのですが、早急に準備できるものがあれしかなくて。我慢していただけると助かるのですが。」
坂月は眉を八の字にして、困ったような顔で笑う。
「それは、、その、、いいんですけど・・・わ・・・」
「わ?」
そこまで言うと、沙耶は続きを促す坂月を見上げた。
「笑わないで、くださいね…」
不相応なので。と小声で付け足して、中に引っ込む。
「え…?」
軽くなったドアを前に、坂月は再び、狐につままれたような顔をしていた。
相手の緊張が伝わり、何故だか自分まで畏まってしまう。
「……あ、じゃ、…入ります。」
とりあえず、軽く咳払いをして、己を取り戻すと坂月は何故かノックからやり直した上で、中に入った。


