そこにコンコン、と軽いノックの音が聞こえる。
気が抜けたのも束の間、沙耶は「は、はい!」と緊張した声で返事をしながら、慌ててドアに駆け寄った。
ガチャ…
ドアの隙間からそろっと様子を伺うと、きょとんとした顔でこちらを見つめる坂月の顔が当然ながらあった。
「支度は終わりましたか?」
「…はい」
「じゃ、食事をしましょう。中に、入っても?」
「…う、あ、いえ…」
「………」
しどろもどろになる沙耶を前に、坂月の表情に困惑の色が現れる。
「何処か、具合でも?」
「いや、そうじゃ、ないんですけど…」
直ぐに否定する沙耶に、坂月は益々混乱した。
「じゃ、中に―」
「ふ、ふ、服…!」
坂月は首を傾げて、沙耶を見つめる。
沙耶は頬が赤くなるのを隠すために、やや俯き加減に続けた。
「ふつうの、、ないですか…」
「普通・・・?」
沙耶の呟きを坂月は繰り返し、漸く理解に達したようで、ああ、と声を上げた。


