シンデレラは硝子の靴を

質問には答えないまま。



「…とりあえず、お腹空きませんか?ルームサービスでも取りましょうか。その前にシャワーを浴びて着替えた方が良いですね。」



ベットの上、掛け布団にくるまれたままの沙耶に、坂月が提案を持ちかける。




そういえば。




言われて沙耶ははたと気付く。



結局眠りこんでしまった為に、沙耶の格好は昨晩のままだ。



冷えた身体はもう十分に温まっているが、このまま坂月の前に出て行くのは忍びない。



明るい場所で露わになった自分の姿は、昨晩のそれよりもかなりひどいからだ。




挙句に、沙耶の身体は出汁を濾しとられた鶏がらのようで、布団を掴む手の力も無意識に強くなる。





「私は外に出ていますね。洋服はそこに並べられている紙袋の中に入っていますから、どれでも好みに合うものを選んでください。一時間位したら、ドアをノックしますから、準備が整っていたら開けて頂いても良いですか?」




「あ…はい…」




沙耶の返事に、坂月は満足気に頷くと、流れるような無駄のない動作で、部屋を出て行った。