シンデレラは硝子の靴を

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沙耶が目を覚ますと、隣には誰も居なかった。


一人には広過ぎるベット。その向こうにまた、同じようなベットが並んでいる。

でも、それには皺一つ、できていない。



―まだ、夢見てるのかな。




いつもと違うのは、背中に当たる薄くない布団の柔らかさ。


重くない掛け布団。



そして。




覚えの無い、広い、部屋。




つまり、全部違う。


ここは―。




「ホテル??」



しかも。

ソファやテーブルなどの華やかな家具が並べられて。



「スイートルーム?!」




一繋ぎの部屋に驚いてがばっと起き上がると、露わになった自分の姿に昨晩の記憶がまざまざと甦る。



少し痛む節々と。


両手にそれぞれ持っている父の形見と、誰かのネクタイ。




途中で眠ってしまった所まで記憶にある。

そこからどうやってここまで来たのか。




「…まさか、坂月さんに運ばれて…?」




そうだとしたら、色々申し訳なさ過ぎる。



自己嫌悪に陥っていると。



ガチャリ。



ドアが開いた音がして、ワイシャツ姿の坂月が姿を現した。