シンデレラは硝子の靴を



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―嫌い嫌い嫌い嫌い、大っ嫌い。




屋敷の外に出た所で、既に沙耶の口からは嗚咽が漏れていた。



目からは熱いものがボロリボロリと零れ落ちて、最初こそ拭ってはいたが、直ぐにそんな行為は無意味だと悟った。




裸足に、夜露に濡れた芝生が当たる。



剥きだしの肩も腕も、外の空気に触れて鳥肌が立った。



屋敷を出てから、時間がどれ位経ったのかはわからないけれど。




無我夢中で、どこを目指すでもなく歩く自分にはたと気付き、それくらい頭がパニックに陥っていたのだと、知った。



余りに、ショックだったのだと。



片手に握り締めた布切れを、改めて見つめる。





「・・・ごめん、お父さん・・・」




―形見だったのに、守りきれなくて。




呟けば、一際大きい粒の涙が頬を滑り落ちる。




小さい頃から、何でも自分の力で守らなければ、何ひとつ手元に残らなかった。




沙耶は膝を抱えるようにして、しゃがみこむ。



そして、父からのワンピースをぎゅっと抱き締めた。




―大きくなった今も、自分はあの頃のままだ。



自分が守れなかったものは、二度と取り返すことが出来ない。



そんなこと、わかっていたのに。