シンデレラは硝子の靴を

「あ、ありが―」



「なんだ、それ」




メイドと目が合った沙耶が感謝を述べようと口を開いた瞬間、石垣が不機嫌そうに呟いた。




「あ、あの…」



「持って来い」




メイドの答えも待たずに、石垣が指示を出す。

彼女はちらりと沙耶を見たが、申し訳なさそうにして、主人の下へと歩いて行った。




「ちょっと!!あんたにはそれ関係ないし!」



沙耶の静止も聞かずに、石垣は紙袋を受け取り、中を取り出した。




「あぁ、なんだ、この安い服か」



石垣は嘲笑うようにそう言うと、沙耶を見る。




「俺の秘書になれば、もうちょっとマシな服が買えるくらいの給料は払ってやるぜ?」




ただでさえ、自分は短気だ。



そんなことはわかっている。



けれど、今回の石垣の言動は、今までの何よりも許せなかった。




一気に頭に血が上ったような感覚だった。





「あんたは人間のクズよ!最低よ!もう一秒だって同じ空気を吸ってたくないわ!反吐がでる!」





言いながら、石垣の持つ濃紺のワンピースをひったくって帰ろうと思った。





その時、だった。






「…へぇ?」





冷たくて、低い声と。


絹を裂くような音が。





沙耶から、言葉を奪った。