シンデレラは硝子の靴を

「何を飲まれますか?」



給仕に訊かれ、酒はもううんざりなので、水をお願いする。



「…いただきます。」



まだ湯気が上るスープに恐る恐る口を付けると、五臓六腑に染み渡るとはこのことだと感じた。



「美味しい…」



無意識に呟いた沙耶を見て、石垣は満足そうに頷き、自分もグラスに口を付けた。



暫く黙々と食事を続け、石垣もそんな沙耶を黙って見つめていた。



石垣と沙耶の位置は、近過ぎもしないが、遠過ぎもしない。



テーブルは大きいとは言え、座っているのは二人で、執事や給仕は立っている。




よって、石垣からの視線に、沙耶は気付いていた。




―た、食べにくい。。




耐え切れず、チラッと石垣の方を見ると、ばっちりと目が合う。




「!!」




思わず逸らすも、居心地が悪い。





「…お前さぁ…」



「う、な、何よっ」




その上、突然話しかけられ、ひどく動揺した。





「何か習ってた?」



「へ?」




何について問われたのかわからず、眉間に皺が寄った。




「さっきんとこで、回し蹴り、とかしてたろ。」





そこまで言われて漸く合点がいった。





「習ってないわよ、そんなもの。」




ふかふかと美味しいリゾットを見つめたまま、沙耶は答えた。