シンデレラは硝子の靴を

石垣の言葉に、沙耶は虚を突かれたようになる。




「…は?」




「元々俺は食事は済ましてきたし、深夜は食わない。ワインだけ嗜んでただけだ。」




ということは。



目の前に整えられた食卓は、沙耶の為だけに用意されたことになる。




「まさか、毒が…」




信じられずに呟けば。




「んなわけねーだろ。」




直ぐ様呆れたように石垣が返した。





「お前はあそこで仕事してたんだから、食ってないだろ。」




ぶっきらぼうだが、気遣うように言われた言葉に、沙耶は疑心暗鬼に襲われる。





―なんだろう。なんだっていうんだろう。




キレイなワンピース。



ヒールが高い、かわいい靴。



一流のメイク。


一流のヘアメイク。



そして、高級そうな食事に心ときめく。




女の子、らしいこと。




全て、沙耶が小さい頃、諦めたものばかり。




それをどうして、今ここで経験しているんだろう。




この憎き相手は、一体何を企んでいるんだろう。




「…じゃぁ、お邪魔します。」




けれど、一つ分かるのは、沙耶が座って食事をしなければ、石垣から話は聞けそうに無いと言う事だ。




同じ空間に居るのは嫌だが、仕方ない。



沙耶は、渋々執事が引いた椅子に腰を下ろした。