シンデレラは硝子の靴を

どうせ、アパートには風呂がない。



銭湯代が浮くと思えば、ラッキーだし、逆にこんなお風呂に浸かることができるなんてこれから先一生ないだろう。



開き直った沙耶は、いい匂いのする高そうな洗剤をばしばし使い、シャワーをじゃんじゃん流して、金持ちの風呂を堪能した。





―で、ご主人って誰だ?




さっきメイドが言っていたことが、ふと引っかかったけれど、ぶくぶくと肌を刺激する泡に気をとられて、すっかり失念してしまった。




良い気分でバスルームを出ると、待ってましたとばかりにメイド達が動き出して、あっという間に沙耶を取り囲む。




「うわ、うわわわ」




あれよあれよという間に、沙耶はタオルに包まれ、新しい下着を着けられた。



「いや、あの、もう、いいですからっ…」



なんとかメイドを押し留めようとするも、反対にドレッサーの前に半ば無理やり座らされ、動かないようにと数人に押さえられる。




―もう!なんだってんだよー。



ドライヤーで髪を乾かされ、軽くカットされ、メイクされ―


もうどうにでもなれとうんざりする沙耶。


更に薄いピンクのシルクワンピースに着替えさせられ、ヒールも同じ色に合わせた新品を履かされる。




そして、沙耶が自分の意思を失いかけた頃。




「すっかり、お綺麗ですよ。さ、それではご主人様の元へどうぞ。」




メイドは全員が達成感に溢れていた。