シンデレラは硝子の靴を

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―薔薇の、匂いが、する。




ぼんやりとしてはいるが、意識を取り戻した沙耶は、鼻腔をくすぐる香りに心地よさを覚える。




―夢の続きだろうか。






沙耶の現実は、薄い布団と畳み。





ふかふかのベットのような感触や、薔薇の匂いなんか、感じたことが無い。






―もう少し、夢を見ていたい。




沙耶は目を閉じたまま、深く息を吸い込んだ。




と、同時に。



首筋に小さな痛みが走った。




―そうだった。




先ほどまでの記憶が一気に甦り、沙耶はぱちっと瞼を開く。





「?!」




視界に広がる天井の高さとあれが俗に言うシャンデリアか!?みたいな照明に驚き、がばっと身を起こした。

但し、光は小さくされており、室内は薄暗い。






「ど、こ…、ここ…」





沙耶の家の30倍はあるだろう、部屋。



白い床はピカピカと輝く。



贅沢な調度品がセンス良く並べられ、細かな彫刻が施されているアロマポッドらしきものからは、薔薇の香りが流れてきており、沙耶自身はというと、キングサイズの天蓋付きベットに一人、横たわらされていた。




ついでに言えば、テーブルの上にある花瓶にはオールドローズが飾られている。



道理で薔薇の香りがする筈だ、と沙耶は納得した。