シンデレラは硝子の靴を

軽く肩で息をする沙耶の背中を、二人は呆然と見つめた。




やがてくるっとこちらを向いた目つきの鋭さに、うっと息を呑みこむ。





「…不本意ながら、会うことになっちゃったけど…」




むちゃくちゃになった真紅の絨毯の下から、剥きだしになった床に、カツカツとヒールを当てながら、沙耶が近づいてくる。



あの踵でよくもあんなに動けたものだと感心した。



そして―。




「石垣ぃ!!」




沙耶は名前を呼んだと同時に、石垣のネクタイをぐぃっとひっぱり顔を寄せた。




「あんたよくも色々やってくれたわねぇ!」




「っ…放せよ、酒くせぇ」




息がかかるほどの距離で、石垣はふぃと顔を背ける。




「まぁ、あんたが何しようと?私は痛くもかゆくもないですけど?姑息な真似やめてくれる?どうせならここでわかりやすく決着つけてもいいけど?」




沙耶は啖呵を切った。



そこに。



「まぁまぁ、ちょっとそんなこと言わずに。」




坂月の落ち着いた声に、沙耶が反応した時には遅かった。



背後からトスンと沙耶の首に落とされた衝撃。






「ここじゃ、落ち着きませんから。話はゆっくりと、別の場所でしませんか。」





―しまった。油断、した。







直ぐに目の前が真っ暗になり、沙耶は意識を強制的に手放すことになった。



その中で沙耶はチッと舌打ちした。



―酒さえあんなに飲んでなければ気付けたのに、と。