シンデレラは硝子の靴を

「おい、お前ちょっと…」



飛び掛ってくる頬に傷のある男に、石垣も坂月も制止しようと動く―



が。





ドガッバキッ



それよりも更に早く、衝撃音と何かが折れるがした。





「―え」



石垣と坂月は目の前の光景に、自分の目を疑う。



「うう…」



一瞬前まで沙耶に殴りかかっていた男が、絨毯の上に転がって居たからだ。



沙耶はと言えば、後から後からわいてくる男たちを、次から次へとなぎ倒して行っている。




ベキッ


ドゴッ


バキッ


ペキンッ




「スカートなのに…」




坂月は思わず口に手を当てた。


沙耶はひらひら舞うワンピースの裾を煩わしそうにしながら、前方から来る相手を尖ったヒールで蹴飛ばし、背後からふらふらと立ち上がって襲い掛かる男を右肘で弾く。




「おい、あいつ今回し蹴りしたぞ…」



石垣も二の句を継げない。




型も形式もなく、思い思いに飛び掛ってくる屈強な男たちが、ざっと30人は居ただろうか。



それが、今全て、意識を完全に失っているか、動くことができなくなっていた。




坂月はふと、腕時計に目をやって。



思わず、二度見してしまう。




この全てが沙耶が通路に立ち止まってから、たった二分間の出来事だったからだ。