「ぬひひひひ、じゃぁ…」
薄汚く笑うおっさんが、さらに汚い手を近づけた―
その時。
「ぎゃぁ?!」
おっさんの腕が反対側に反り返る。
「酔っ払うのも大概にしな、ハゲ。」
「くっ、はな、、せ…この…」
沙耶は片手で、おっさんの腕を捻りあげていた。
「く、組長に何をする!?」
ガタガタと一斉に柄の悪い連中が席を立ち、飛びかかろうとするが。
「正当防衛だよ、ばーか」
言いながら、沙耶は暴れまくる組長の腕を捻り上げたまま、背後に回って首をガッチリホールドオン。
ガキッ
「?!?!?!?!」
変な音がしたと思うと、おっさんは床に力なく転がった。
「く、組長!?」
「何しやがったこの女ぁ!!!」
「沙耶ちゃん!!?何やってんの!?」
騒ぎを聞きつけて、オカマちっくな店長が血相を変え飛び出してきたが、時既に遅し。
「捕まえろっ!」
「うぉぉぉぉっ」
沙耶の逃亡劇が始まる。
全部が全部、おっさんの仲間ではないが、数が多い。
―広いフロアじゃ無理ね。一対一になれる通路が良い。
そこまでおびき寄せれば、勝算は十分にある。


