シンデレラは硝子の靴を

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―おかしい、とは思っていた。



沙耶は煙ったい店内を見上げながら、失望していた。




ただの夜の高級飲食店のバイト、くらいに思っていた。


でも、時給がそれにしちゃかなり高いな、とも思っていた。



面接が古びた事務所みたいな所だったのも、腑に落ちない。



何の免許も持たない自分が、一発合格だったのも謎だった。



ちなみに言うなら、強面のスキンヘッドが面接官だったのも、変だった。





疑う、べきだった。





「沙耶ちゃーん!ほらほら、あのテーブル空いてるから行ってー!」




「…はーい…」





沙耶は洗面所から帰って来た所で、気持ちのこもらない返事を返す。




店内には至る所に、金持ち、やくざ、金持ち、やくざがごろごろしている。




勿論、仕切りはきちんとしてあって(というかほぼ個室に近い状態になっていて)、煌びやかに着飾った豊満なボディの大人のお姉さん達が金持ち相手ににこやかに談笑している。



―空気、悪。



淀んだ空気が室内に充満し、さっきから沙耶は気分が悪かった。




恐らく沙耶が察するに、この店は、金持ち相手に会社側がよいしょしようとする場所で、その道具として沙耶達は雇われているようだった。