―思い出した…
硝子の靴の意味。
それは、沙耶を救い出す手立て。
力。
―嘘でしょ…全部私の為ってこと…?
焦りにも似た動揺が、沙耶の胸の内に広がる。
本当に。
あの約束を、石垣がずっと見据えてきていたというのなら。
自分は何て事をしてしまったんだろう。
「諒は、君の言う『位置』まで降りてくるのも厭わない。これを聞いてどう判断するのかは君の自由だけれど、覚えていて欲しいのは―」
嘉納は第三者に向けたような話し方をやめ、停車すると、バックミラーの中に映る沙耶を見た。
「諒は君が思ってるよりずっと、本気で君を守ろうとしていたという事だ。」


