シンデレラは硝子の靴を

「佐伯さん、どう思います?今の話聞こえてたでしょう?」



「ええ?」



「実は、佐伯さんの意見が訊きたくて、わざとここにしたんです。」



孝一はにやっと笑った。



―なんだよ、そういうことかよ。




諒は隣で顔を顰める。




時刻は夜の8時を過ぎていて、店内には他に客は居なかった。




「俺も俺なりに、片手間ですけど、諒の周囲で起こる事件について調査に出したりはしてるんですよ。でも、どの方面から調べても繋がらない。石垣グループのトップの事故もニュースで報道されてたから知ってるでしょう?」




「知ってるけど…」




佐伯は困ったような顔をしながら、トレイを抱えた。



「今回起こったことも詳しくはまだ言えないんですけど、諒は親戚から大変な事態に追い込まれてるんです。」



孝一と佐伯の間で、諒は難しい顔をしながら運ばれてきた紅茶を黙って啜る。




「―諒君は…」



「―?」




そこへ突然名前を呼ばれ、慌ててカップから口を離した。




見上げれば、先程までは孝一に向けられていた佐伯の視線が、諒に注がれている。





―同じ佐伯でもここまで違うのか。



自分の叔父のことを思い出し、目の前の白髪交じりの男性と重ねてみるものの、当たり前だが重ならない。



がたいが良く、無駄な脂肪が付いている肇と、痩せ型長身の店主は外見からしても全く異なっていた。