シンデレラは硝子の靴を

「今、お茶が運ばれてくるから、少し待っていてね?外は寒かったでしょう。」



労わりの言葉を掛けられ、ソファの端に腰掛けた諒は小さく頷く。




「本当に大きくなったわね。もう幾つになるのかしら?あ、楓と同い年だもの、23ね。」




ふふふ、と笑い、深雪は懐かしむような顔をする。


反対に諒は、楓、という名前が出てきたことによって、気持ちが引き締まった。



「実は―、楓の事で、今日はお伺いしたんです。」




思い切って、口に出すと、深雪の笑顔が小さくなった。




「楓のこと?」



「はい。本来なら、肇さんにと思ったのですが、お会いできないと言われてしまったものですから。」




暖炉の中の炎が揺らめく。



深雪の反応を窺っても、その心中は読めないが、無言になったという事は、良いものではなさそうだ。



―予想の範疇だ。



諒はかまわず続ける。





「単刀直入にお訊きします。石垣グループの株式を楓になぜ譲ったんですか。それは楓の願いですか?それとも肇さんの狙いですか?」




元々楓が持っている株式と、それに他の株主が持っている株式を足すと、保有率が過半数を越える。



支配率は持ち主に傾き、事実上支配権を握ることになる。



それに手を貸したのが、誰なのか。



恐らく佐伯の持ち株だってそれ程ではない。



第三者の介入もあった筈だ。