コンコンとノックの音に続き、物思いに耽っていた諒ははっと我に返った。
返事を待たずに扉が開く。
「おはようございます。秘書がいなくても起きられるようになって感心ですね。」
定時よりやや早めに出社した楓の言葉が、皮肉に聞こえる。
沙耶との接触を持つ際に、楓には付き合ってもらったが。
楓へ心を許したような沙耶の態度は、癪に障った。
つまらない嫉妬も沢山、した。
「あ、そうだ。秋元さん、今日マンションを出るって言ってました。」
「―え?」
楓の挨拶を無視してデスクに向かっていた諒も、思わず顔を上げる。
「どういうことだ?」
問い返せば、楓は驚いたような顔をした。
「ご存知無いんですか?仕事を辞めたのだから当たり前だろうと仰ってましたけど。。」
「行き先は?」
咄嗟に問えば、楓は表情を曇らせる。
「それが…知りません。訊かないことを望んでらしたので。」
「っっ」
諒は慌ててコートだけを引っ掴んで、部屋を出た。
またか。
また、居なくなってしまう。
やるせなさにも似た焦燥感に、ただただ、駆られて。
返事を待たずに扉が開く。
「おはようございます。秘書がいなくても起きられるようになって感心ですね。」
定時よりやや早めに出社した楓の言葉が、皮肉に聞こえる。
沙耶との接触を持つ際に、楓には付き合ってもらったが。
楓へ心を許したような沙耶の態度は、癪に障った。
つまらない嫉妬も沢山、した。
「あ、そうだ。秋元さん、今日マンションを出るって言ってました。」
「―え?」
楓の挨拶を無視してデスクに向かっていた諒も、思わず顔を上げる。
「どういうことだ?」
問い返せば、楓は驚いたような顔をした。
「ご存知無いんですか?仕事を辞めたのだから当たり前だろうと仰ってましたけど。。」
「行き先は?」
咄嗟に問えば、楓は表情を曇らせる。
「それが…知りません。訊かないことを望んでらしたので。」
「っっ」
諒は慌ててコートだけを引っ掴んで、部屋を出た。
またか。
また、居なくなってしまう。
やるせなさにも似た焦燥感に、ただただ、駆られて。


