シンデレラは硝子の靴を

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「こちらが20代女性向けのフロアとなっております。」



各フロアの説明をしてくれる、スーツを着た頭の薄い中年男性の後を、沙耶と石垣は付いていく。


勿論入っている店舗は把握しているし、オープン前にも石垣が何度か足を運んでいるらしいのだが、このように全店舗が開店している様子を見るのは初めてだという。



「―にしたってすごい人…」



買い物客でごった返す中、スーツ姿で歩く三人は完全に浮いている。



オープンしたばかりの大型複合商業施設、『Legame(レガメ)』。


テレビでも注目される程、敷地面積が広く、ショッピングモールのみならず、映画館やカフェ、レストラン、アトラクションも充実。

出店ブランドの中には、日本初上陸のものがいくつもある。


近年、この種類の施設は次から次へと出来上がっているものの、生き残り争いは熾烈を窮めている。


実際、土日はやや混雑するが、平日は閑古鳥という店がほとんどではないだろうか。


その点、レガメは平日だというのに、この混み様だ。


まぁ、まだ開店したばかりだから、なんともいえないのだが。




「交通の便が良い、ということと、飽きのこさせない展開が実を結んだのでしょう。一日だけでは回りつくせない広さですけれど、年代別に各フロアを分けてあります。ですから、全て見なくとも、ここっていう所で自分のお気に入りの場所を見つけていただく。年を取るごとに趣向が変化しても、それに順応できる。」




「はぁ…そう、なんですね。。」



沙耶の呟きに対し、自信を持って語る案内の男に、曖昧に相槌を打った。