シンデレラは硝子の靴を


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髪を切られて泣いたあの日。


初めて、出逢った日。



栗色の髪の男の子に見つかって、沙耶は気まずい思いをした。


恐らく強張った表情をしていたことだろう。


笑うこそすれ、労わるような声をかけてくれるような親切な子供は、沙耶の周りにはあの時存在しなかった。



だから、余計に怖かった。



どうしていいかわからず、しゃがんだまま、彼を見上げる沙耶の目つきは険しかったと思う。



けれど彼は、そんな沙耶の態度をさして気にする風もなく、むしろ安心させるかのように優しく微笑みながら言ったのだ。



『ここには誰も居ないから、泣いても誰も見ていないよ』と。



魔法のようなその言葉に、沙耶は堰を切ったように泣きじゃくった。


小さく丸めた背中には、温かい手があやすように置かれて、人の気配が嫌だった筈なのに、安心できた。


小学校に入るか入らないかくらいの頃の話だ。


弟や親戚の子の手前強がっていても、沙耶だって、本当は心細かったのだ。



断片的にしか記憶は残っていないが、それから何回か、その男の子は竹林にやってきた。