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白いレースだけのカーテンを通して透ける陽の光が、朝を告げる。




真夏には、ケチらずにどうして遮光式のカーテンを、いや遮光式じゃなくとも、外側の部分を買わなかったかと悔やんだが、冬が近づくに連れて、段々とどうでもよくなった。



畳み4畳半の部屋の中。


敷かれた布団の中で、沙耶(さや)は目を覚ます。



隣では弟の駿(しゅん)が、布団から飛び出したままいびきをかいている。



がらんとした隣の部屋には、卓袱台が一つ、ぽつんとあるだけだった。





―また、あの夢か。





時計を確認すると、まだ早い時間に沙耶は起き上がることもせずに、天井を見つめた。






秋が深まると、毎年必ず見る夢。




いや、昔の記憶というべきか。




かなり古いので、少し美化されている部分もあるだろう。




けれど、確かに、誰かが沙耶の手を引いてくれた。



沙耶にとって、あの時が人生で一番良かった時期かもしれない。