朝早くに見る豪邸は、やはり見紛うことなく、豪邸で。
夜中に見た時と同じ。
いや、それ以上に磨きぬかれた床が光っている。
「先日は、大切なお洋服が、私のせいであんなことになってしまい、大変申し訳ありませんでした。」
開け放たれたドアの向こうを放心状態で見つめる沙耶に、メイドが謝罪の言葉を述べた。
「え?」
見るとかわいいメイドが眉を八の字に下げて、申し訳なさそうな顔をしている。
―あの時の、人か。
ようやっと、沙耶はこのメイドの存在を思い出し、首を横に振った。
「いいえ、あなたのせいじゃありませんから。却って気を遣わせてしまって、すみません。」
「そんな…本当に、ごめんなさい…あの後、大丈夫でしたか?直ぐ捜しに出たのですが、見つからなくて…」
恐縮している様子からすれば、本当に心配してくれたのだろうが。
あんな姿で出て行った沙耶を、さぞかしトチ狂った人間だと思ったに違いない。
―あの男さえ、、いなければ…。
沙耶は恥ずかしさから、石垣に関わる記憶全ての抹消を願った。


