窓から見える霞んだ外の景色。

太陽の光が眩しくて
目元を軽く拭った後、

改めて外を見ると、

家の前にある木からチラホラと
色づいたカエデの葉が舞っていた。



「久しぶりに…懐かしい夢見たな…」


この季節になると、
必ず思い出す。


私は勉強机の引き出しから
箱を1つ取り出して、

久しぶりに蓋を開けた。


中には、

今じゃ何の意味もない
数字が書かれた小さな紙切れと

タオルが入っていて。


「…………」



私は未だに、


“俺のこと忘れないで”


あの約束とあの人を
忘れられないでいる。