キミとゆびきり〜涙の約束〜

"覚えていなかった"

一ノ瀬さんの声が
私の頭の中に響く。

ギュッと手に力を入れて、
動揺を必死に隠そうとしても、


予想以上に現実は辛くて
真っ暗闇に落とされたような、

そんな気分になった。


私から涙がポタッと落ちて、

一ノ瀬さんは少しだけ
表情を曇らせながら話を続けた。


「先生は直前まで思い出していたことが、事故の衝撃で抜けることがあるって言ってた。でも記憶障害って凄く複雑みたいで…、あなたのことだけ、日向の記憶から消えたの」

「っ、」



じゃぁ、その記憶は
どうなるの…?

消えてしまった私は、
どうなるの…!?


唇が震える。