半年後、香奈はスマホが手放せなくなっていた。

それは周囲がドン引きするレベルだった。食事中でも授業中でもトイレでもどこでも何かしらいじっていた。

周りの友達も最初はすぐに返信してくれる彼女に感心していたが、四六時中SNSを打ち込み返信をしないと怒る彼女にあきれて離れていった。

香奈のスマホは静かになった。誰からも返信が来ない。香奈はなぜかわからなかった。

香奈はつねにスマホを観ていた。唯一、手放すときはお風呂に入る時だけだった。しかも、今まではお風呂に入るのが好きだったのに、すぐにスマホを確認したくてシャワーをさっと浴びるだけだった。

あまりの娘の変わりぶりに香奈の親は解約することを決めた。学校からも注意を受けたのだ。

香奈は今までにないくらい暴れだした。泣いて謝った。親は流石に可哀相に思って普通の携帯電話、ガラケーを新規に与えると言ったがスマホみたいにネットやSNSができるわけじゃない。

香奈はどうしていいかわからなくなった。解約されるスマートフォンを観て、どうしても手放したくなかった。