光が差し込まない暗闇
私の目の前には真っ赤な海のような血が広がっている。
あの日
私は何もかも失った……
「真紘。あなたの名前は“真っ直ぐな心の広い人になってほしい”そう願って付けた名前なの。だから、そんな人になってね」
「うん」
「大丈夫だ!真紘は絶っ対そんな人間になる。なんたって俺達の娘なんだからな!!」
「親父には、あんま似ないでほしいけどなww」
「お前なぁ~」
「「あはははははは」」
父さん…母さん…兄さん……。
「ま…ひろ…まひろ…真紘」
「…んっ……。雅?」
「HR終わったわ」
教室……。
あぁ…寝てたのか。
随分久しぶりに見たな…。
私は河神 真紘(かわがみ まひろ)。
青葉学園高等学校(あおばがくえんこうとうがっこう)に通う1年。
そして、私の目の前にいるのが親友の霧崎 雅(きりざき みやび)。
雅は何事も要領が良くサッパリとした性格をしている。
あと、もう1人親友がいる。
ガラッ
「たっだいま~。あっ真紘起きたんだ」
この子がもう1人の親友の内原 明日奈(うちはら あすな)。
明日奈は人懐っこい性格をしているから基本的誰でも仲がよい。
「随分と長かったわね」
「本っ当どよ!京ちゃん容赦ないよ!!」
京ちゃんとは、私達の担任で雅の兄の霧崎 京太(きりざき きょうた)のことだ。
「自答自得でしょ」
「そうだけどさ~」
あの日からいろいろなことが変わった。
だけど、この2人は変わらない。
「真紘?どうかした?」
だからこそ今度は守ってみせる。
2度とあんなこと起こさせない。
絶対に……。
「…なんでもない」
この時の私は、まだ知らなかった…。
これから歯車が大きく動き始めることに…。