月日はどんどん流れていった。

 ――2016年、2月12日。

「雪ー!」

 私たち龍ノ宮は今は京都に本家を置いて、普通に人間たちと生活している。この数百年の間に人間たちとも少しずつ関わるようになり、今ではなんの抵抗もなく接することができている。

「何? 琉菜」

「行くんでしょ? あそこ」

「うん」

 私たちは相変わらずのんびりと何気ない日々を過ごしている。

「……いつ来ても、何度来ても、これが現実なんだって受け入れられねえな。――なあ、土方」

 お前が空に還ってから、数百年の月日が流れたよ。もうだいぶ前のことだってのに、お前の顔も、声も、ぬくもりも、何一つ頭の中から消えねえよ。

 そんなことを思いながら土方の墓を眺めた。

「お前も今じゃ有名人だもんな。新撰組、今じゃ結構有名になってんぞ」

 お前たちの誠は、ちゃんと次世代に伝わってるよ。

「会いたかったな」

「だから会いに来てやったじゃねえか」

 えっ……?

 横を見れば、そこには漆黒のショートヘアーと藤色の目つきの悪い瞳を持つ男が立っていた。

「……土方……なのか?」

 嘘だろ?

「今の俺は藍川(あいかわ)だ」

 なんで……。

「結構長いこと待たせちまったけど、ちゃんと約束果たしに来たぜ、雪」

 もう……会えないと思ってた。

「遅すぎだ、馬鹿!」

 がばっと土方の胸にしがみついた。

 あー、懐かしいぬくもりだ。

「迎えにきてやったんだから文句言うんじゃねえ」

 もう、離さない。

「愛してるぜ、雪」

「私も」

 私たちは甘い口づけを交わした。

 あなたに出会えてよかった。私の愛しき人。ずっとずっと、一緒にいたい。