私が戻ってきて数週間が経った。

 ……やっぱり気のせいじゃない。山南の様子がおかしい。朝食も昼食も広間ではなく自室でとるし、何よりも気配が人間のものとは違う。

「土方」

 勝手に襖を開け、中に入った。

「おい、雪。何勝手に入ってきてんだよ」

 ギロッと睨まれたが気にしない。

「聞きたいことがある」

 本人に聞くのが一番いいが、触れてほしくないこともあるかもしれねえからな。

「なんだ?」

「私がいない間に、山南さんに何があった?」

 だいたい予想はつくけど。

「……お前も幹部の一員だし、話してもいいか」

 素直に話すのか。意外だな。

「お前が戻る数日前、山南さんがあの薬を飲んだんだ」

 えっ!?

「だが理性は失ってないじゃないか。以前私が見たものとは違いすぎる」

 前見たのは禍々しい感じで、とても人間とは思えなかった。でも山南さんはそんな感じじゃない。我々に近づいてる感じだ。

「山南さんが新しく作った結果が今の山南さんの状態だ。夜にしか動けないし時々殺人衝動が起きるがな」

 完璧には制御できてないのか。まあ人間の体でできるのはここまでだろうな。これ以上やれば、命が危ない。

「……そうか。ありがとな。じゃあな」

 夜、山南の部屋に行くか。

 時間を潰すため、道場で素振りを始めた。