幹部が広間に集められた。

 議題はおそらく、私の潜入捜査について。

「神田君にはこれから島原で潜入捜査を行ってもらう。もちろん幹部には交代で見張りをしてもらう」

 そんなことされると困るんだが。

「あの……今回はやめたほうがいいと思います。標的は長州のリーダー的存在。見張りで少しでも警戒されてしまえば失敗に終わります」

 ただ単に私が自由に動きたいだけなんだけどな。

「それでは神田君が危険すぎる」

「問題ありません。もしものときは逃げますから」

 殺すかもだけどな。

「……近藤さん、本人がこう言ってんだ。今回は見張りはなしにしよう。だが神田、優先するのは何がなんでも自分の命だ。任務は二の次だからな」

「はい」

 心配しすぎだっての。

「そういうことだ。では、解散!」

 さてと、出発するか。

「雪」

 広間を出ようとしたら、土方に呼び止められた。

「ん?」

「気をつけろよ」

「誰に言ってやがる。私が失敗するわけないだろ。大丈夫だ、無傷で成功させてやる」

 失敗は許されない。将軍のために、必ず成功させる。

「心配するに決まってんだろ。……大切な、仲間なんだから」

 仲間……。

 あー。なんでこんなたった一言で、こんなにも温かい気持ちになるんだろう。

「ありがとうございます。では、失礼します」

 ぺこりと頭を下げ、ぱぱっと準備をして島原のとある店に向かった。