潜入するならいろいろ買い物しとかないとな。

 店をいろいろと見て回り、着物やかんざしなどを買った。

 ……誰かにつけられてる。敵か?

 人気のないところに向かった。

「いい加減出てきたらどうですか?」

 こっちだって暇じゃないんだよ。

「さっすがお姉ちゃん」

 なっ……。

「冬樹……」

 どうしてここに……。

「そんな悲しそうな顔しないでよ。せっかく再会できたんだからさ」

 確かにそうだ。でも……素直に喜べない。

「どうして神宮寺と一緒にいるの? 一族を殺したのはあいつらなんだよ?」

 あいつらが襲撃してこなければ両親は……。

「言っただろう? 黒幕は幕府だって」

「今そのことについて調べてもらってる。黒幕が幕府だろうと、あいつらが殺したことに変わりはない」

 私は、あいつを殺す。

「……そっか。僕は待ってるよ。雪姉が戻ってきてくれるのを」

 戻る? 私に帰る場所なんてあるの?

「冬樹の目的は何?」

「僕はただ、人間と群れてる雪姉が嫌なだけだよ。雪姉だって人間が嫌いでしょ?」

 群れてる、か……。

「確かに人間は嫌いだよ。……でも、嫌いだと思えない人たちもいるんだよ」

 新撰組の人たちは特にそうだ。私を仲間だと言ってくれた。

「雪姉は騙されてるんだよ! あいつらは幕府の捨て駒で、幕府の犬なんだよ? 雪姉が一番よくわかってるでしょ?」

 彼らは幕府の者だ。冬樹の言っていることが正しければ、彼らは私の敵になるだろうな。