「おかえり、雪ちゃん。ゴホッ、ゴホゴホッ」

 沖田が屯所の前で待っていた。

「……広間に集まれだって」

 沖田、風邪か?

「わかりました」

 私たちは広間に向かった。

「皆に知らせがある。2日後、京都守護職の命により、出陣する!」

 池田屋の件が認められたのか。

「それぞれ準備しておくように。解散!」

 さてと、あの人を待つとしますか。

 屯所の門のところで待ち伏せをしていた。

 おっ! 戻ってきた。

「山崎さん」

 彼の前に立ち塞がった。

 土方に報告される前に情報を。

「話があるんですが、お時間よろしいですか?」

「……なんでしょうか?」

「私が外出したとき、最初は私を、最後は彼女をつけてましたよね? なぜですか? まだ私を敵だと思ってるんですか?」

 せっかく情報収集してやったのに。

「全く情報が入手できないあなたが外部の者と接触している。あなたの情報を得るには絶好の機会でしょう」

 そんなに私の情報が欲しいのか。

「で、その顔と右腕の傷は彼女にもらったんですか?」

 腕のほうは切り傷か。短刀でやったな。

「顔を殴られ腕を斬られ、最後には気絶までさせられました」

 おいおい……。琉菜、やりすぎだろ。

「私の情報はおろか、彼女の情報も入手できなかったんですね」

 まっ、当然か。てめえごときが入手できるような代物じゃねえしな。

「その女はいい。我々が欲しいのはお前の情報だ」

「副長」

「土方さん……」

 なんでこんなところにいんだよ。部屋でおとなしくしてろよ。

「山崎、今言った以外の情報はあるか?」

「……いえ」

 当たり前だろ。

「神田、俺の部屋に来い。山崎、ご苦労だったな。ゆっくり休め」

 あー、面倒だな。

 しぶしぶ土方の部屋に向かった。