ふうー、書けた。

 将軍への手紙を書き、そのまま屯所の出口へ向かった。

「出かけるのはいいが、なるべく早く戻ってこいよ」

 門を潜ろうと一歩足を出した瞬間、土方が後ろからそう言った。

「わかりました」

 何かあるのか?

「琉菜」

 あるお店に入り、のんきに団子を食べている女性の名を呼んだ。

「雪!」

「はい、これ」

 すぐに手紙を渡した。

「ん」

「じゃあ戻るな」

 遅くなったらまたうるさそうだし。

「えー、もう戻るのー?」

「悪いな。今日は早く戻るように言われてんだ」

 土方怒らせるのが一番面倒だからな。

「……もしかして雪、私と会うこと言ったの?」

「言うわけねえだろ」

 なんでそんな面倒なことしねえといけねえんだ。

「だから気をつけろよ。まっ、琉菜なら問題ないと思うけど」

「はあー、なんでこっちまで巻き込むかなあ」

 巻き込みたくてやってるわけじゃねえんだよ。

「じゃあな」

「うん、またね」

 急いで屯所に戻った。

 すぐ傍に知っている気配があるのに気づきながら――。