「お前にはいろいろと聞きたいことがあるんだ。全部話してもらうぞ」

 有無を言わせず広間に連れてこられたかと思えば、土方からの第一声はそれだった。

 ちなみにそこには幹部全員が揃っている。

 準備がいいな。こうなることを予測してやがったな……。たちが悪い。

「神田。お前、池田屋にいた男2人と知り合いなのか?」

 神宮寺たちのことか。

「私が戦っていたのが神宮寺海里。平助が戦っていたのが宮島柊。実際会ったのはあれが初めてです。最初に言っておきますが、彼ら、そして私は人間とは違う種族です」

 隠すの面倒だし、もう言っていいか。大目付のことがばれなければ問題ないだろう。

「どういうことだ!?」

 それは不思議な問いだな。

「あなたたちも見たことがあるでしょう。人ではないものを」

「お前……」

 なんで知ってるんだ、みたいな顔してるぞ。

「殺された武士が斬っても死なないと言っていました。その言葉で想像はつきます。大体彼らの気配は人間のものとは少しばかり違う。どちらかと言えば我々のもののほうが近い。それで仮説を立てました。彼らは人間ではなく、傷の治りが早いのではないかと」

 あれが薬を飲んだ奴らの末路だろ。

 懐から短刀を取り出し、それで腕を斬った。

「……っ! お前……!」

「大丈夫ですよ、すぐに治ります」

 傷はすぐに塞がり、斬る前と変わらぬ状態になった。

「これで私が人間ではないと理解していただけたでしょう」

「じゃあお前らはなんなんだよ!」

 ……頭の中が混乱してきたか。

「龍神(りゅうじん)」

 それが我々の名称だ。

「視覚や聴覚などといった五感、速さ、力、全てにおいて人間の上を行く種族。それが我々です」

 簡単に言えば化け物だな。

「次は私が聞く番です。さっきのあれはなんですか?」

 情報収集するいい機会だ。

「幕府からの命で、我々はある薬を研究している。彼らは、それを飲んだ者たちだ。我々は鬼神(きじん)と呼んでいる」

 へえー。

「効果は今神田君が言っていた通りだ」

 身体能力は我々とそう変わらないのか。

「欠点として、殺人衝動に駆られて理性を失っている。あと、夜にしか十分に動くことができない」

 使えねー。

「……そうですか」

 もう少し情報を集めて、すぐに将軍に報告だな。

「話はこれで終わりだ。解散!」

 どうせまた残れって言われるんだろうな。