……っ! 誰か来る。

 屯所に向かっている途中、4人がこちらに向かってくるのに気づいた私はすぐに物陰に身を潜めた。

 それから少しして2人の武士が走ってきた。

「なんだよ、あいつら。斬っても斬っても死なねえぞ」

 斬っても死なない?

「とにかく今は逃げるん……だ……」

 武士の1人が斬られた。

 斬った奴は血のような赤い瞳をしていて、新撰組の羽織を着ていた……。

「殺す、お前を……殺す」

 この気配……間違いない。あいつらと同じものだ。

「うわあー」

 すぐにもう1人の武士も斬られた。

「あ……るじ……」

 なっ……!

 後ろにはいつの間にかもう1人、『人ならざるもの』がいた――。

 体が……動かない……。

「ちっ……」

 無理やり動かそうとしたそのとき、そいつは後ろから心臓を刺された。

「何やってるの? 雪ちゃん」

「沖田さん……」

 なんでここに……。

「夜までに帰れと言っただろうが」

 後ろを向くと、そこにはもう1人を始末し終えた土方がいた。

 ……なるほど。夜はこいつらが動き回る可能性があるから夜までに帰らせようとしたのか。

「……すみません」

「まあいい。とっとと帰るぞ」

 私たちは屯所に戻った。