あー、暇だな。外出、稽古禁止とか、体なまんじゃねえか。

「雪ちゃん、ご飯だよ」

 沖田が私のと自分の分の食事を持ってきた。

「あの……なんで沖田さんまでここで食べるんですか?」

 逃げれないじゃん。

「だって雪ちゃん、放っておくとどっか行っちゃいそうなんだもん」

 もんってなんだよ、もんって。

「稽古したくてうずうずしてるでしょ」

 ぎくっ……。

「……はい」

 報告もしないといけねえのに。

「もう治ったんですから、許可してくださいよ」

 包帯を外して、傷があったところを見せた。

「こんなに早く治るものなんだね」

 普通ならないだろうな。

「早く治るほうなので」

 早すぎだけどな。

「これならもう良さそうだろうね」

 よし!

「あーあ、残念だなあ」

 えっ?

「何がですか?」

「せっかく雪ちゃんと2人っきりで食事ができてたのになあ」

 ほとんど一緒にいるんだからいいでしょ。

「残念でしたね」

 ここは流しておこう。

「台所に持っていくよ」

 沖田が器を持ってそそくさと出ていった。

 今の内に……。

 こっそり部屋を出て、ある場所に向かった。

「土方さん、神田です」

「入れ」

「失礼します」

 中に入り、襖を閉めた。

「足のほうはもういいのか?」

「はい、もう治りました」

 随分前から治ってんだよ。

「そうか。で、用件はなんだ?」

「今日一日、京をのんびり歩きたいのですが」

「ああ、構わない。だが、夜までには帰ってこい」

 よし!

「わかりました。では、失礼します」

 早く行こう。