店主に見つからないようにこっそり侵入し、気配を探った。

「武器と火薬は用意できたか?」

「はい。いつでも京を火の海にできます」

 なっ……。

「では2日後に実行する」

 2日後!? 明日動かないと間に合わない。将軍に報告している時間はない。……ここは新撰組を利用するか。

 ささっとそこを出て、屯所にこっそり戻った。

 ドクンッ……。

 ……っ! 何? 今の感じ……。体が、何かに反応してる……?

 きょろきょろと辺りを見てみるが、誰もいない。

 ……どこだ? どこにいる。

 気配を探ってみる。

 ……あっちか。

 気配のしたほうにそーっと近づいていく。

 この気配、人間とは少し違う。そう、まるで……。

「なっ……!」

 気配のしたほう、屯所から少し離れた小屋に行ってみると、そこには人の道からはずれたものたちがいた。

「あ……るじ……」

 何を……。

「ひ……め……」

 やめろ。なぜお前たちがそんなことを。

「姫様……」

「嫌ー!」

 私はお前たちなんて知らない。知らない。

 立つこともできなくなり、私はその場でしゃがみこんで耳をふさいだ。

「神田君!?」

 えっ?

「山南さん……」

 後ろには驚いた顔の山南がいた。

「どうして君がここに?」

「……感じたことのない気配がしたので」

 来なければよかった。

「随分と気配に敏感なんだね。君も新撰組の幹部だ。いずれ聞くことになるだろうけど、今日はもう寝よう」

「はい」

 山南に立たせてもらい、出口のほうに歩いた。

「主……行かないで」

「たす……けて……」

 やめろ。

「また、見捨てるの?」

「やめろー!」

「神田君!」

 刀を抜こうとしたのを、山南に止められた。

「落ち着くんだ、神田君」

「はあ、はあ……」

 頭がおかしくなりそうだ。くらくら……する……。

「神田君!?」

 そのまま私は意識を失った。