さてと、私も戻るか。沖田に聞きたいことがあるし。

「神田、お前は残れ」

 立とうとしたときに、そう土方に呼び止められた。

 ちぇっ。

 部屋に残ったのは近藤、土方、山南、私の4人だった。

「お前は何者だ」

 その質問はいろいろな意味で困る。

「私のことを間者だと思ってるんですか?」

 ……無言かよ。

「土方さんと沖田さん、どちらも相当の実力者です。その2人から全力でなくとも1本をとったのだから、そう思うのは当然でしょう。ですが、私はあなた方の敵ではありません」

「そうでないと言われて信じられるほど、俺たちはお人よしじゃねえんだよ」

 そりゃあそうだ。この3人はここの土台だしな。

「では条件を出しましょうか。私が敵となった場合、容赦なく首を跳ねてくださって構いません。誰がなんと言おうと、私はこちら側です」

 幕府の犬だよ。

「お前、何言ってんだ」

「もちろんその横にある物があなた方にとってただの飾りでなければの話ですが」

 土方の横にある刀を指さしながらそう言った。

「お前!」

「お飾りでないことを証明してくださいよ、誠の武士さん。では、失礼します」

 無理やり話を終わらせ、そこから出た。

「盗み聞きとは感心しませんね」

「なーんだ、気づいてたのか」

「さっきのようには行きませんから」

 もうあんなことにはならない。

「そう。それは残念。それにしても、盗み聞きとは人聞き悪いなあ。僕はただ、君が来るのを待ってたんだよ。迷って他人の部屋に入られても困るからね」

 ……他人の部屋。あの薬の研究室とか、な。まずはその場所と実験に使用された人間を見つけねえとな。

「そうでしたか。ありがとうございます」

 そのためにはまず、こいつの監視から逃れないと。

「ほら、行くよ」

 沖田の部屋に向かった。