孤独な少女と誠の武士

「神田、話がある。来い」

 どこに行くんだ?

 そう思いながら後ろをついてきている沖田を警戒しながら前を歩いている近藤と土方の後ろをついていく。

 なんで沖田までついてくるんだ? なるべくこいつとは一緒にいたくない。

「ここは局長室だ。近藤さんに呼ばれるかもしれねえから場所は覚えとけよ」

 言われなくても場所は覚えるさ。場所がわからないと動くに動けないからな。

 局長室に入り、先程の広間と同じように座った。

「神田の処遇だが、実力も十分にあることを考えて、一番組に所属してもらう」

 ……ってことは上司は沖田じゃねえか。はあー、気が重い。

「そして総司の補佐、一番組副長になってもらう」

 こいつの……補佐ー!?

 ちらっと沖田のほうを見た。

「何か不満でも?」

 あっ! ばれたか……。そういうのは鋭いよな、こいつ。気をつけよう。

「い、いえ……」

 不満だらけだっつーの。

「今部屋の空きがねえから、その間総司の部屋にいろ」

 はっ? ってことは、1日中こいつと一緒なのか?

「あの……一応言っておきますが、私……女です」

 ずっと隠してもよかったが、こいつと部屋が一緒となるとさすがに無理だ。

「…………はあーっ!?」

 あー、耳が痛い。

「お前……女…………なのか?」

 信じらんねえのかよ。

「はい。女みてえではなく、正真正銘の女です。信じられないと言うのであれば、実際に見てみますか?」

 そう言い、着物に手をかける。

「ば、馬鹿野郎! 何しようとしてんだよ!」

「言葉がだめなら目かと」

「ふざけんな!」

 だから平均的な男に比べたら腕も細いし身長も低い。

「おいトシ、話がそれてるぞ」

「あー、すまねえ。言っておくが、ここは女禁制だぞ」

 そんなのわかってる。

「それは存じています。しかし戦力不足の今、即戦力として使える人材をここで逃すのは痛いと思います。困るのは、あなた方ではありませんか?」

 実力を知っているが故に断れない。

「あははっ、なるほどね。だからこのタイミングまで言わなかったわけだ。実力で強者であることを示せば、手放すことは容易じゃないからね」

「……何が目的だ」

 それは言えないな。

「ここに入隊するのが目的です」

「トシ、彼女を入隊させよう。実力もあるし、こんなに入隊したいと言っている。実際に戦ったトシや総司にもばれないほどの変装技術だ、大丈夫だろ」

 局長がこんなにあっさり納得してくれるとは……。やっぱりこいつ、甘いな。

「……わかった。だが今は部屋がない」

「私はどこでも寝られますから大丈夫ですよ。お気になさらないでください」

 気にされるほうが迷惑だ。

「どこで寝る気だよ」

 えっ?

「屋根、廊下、木の上、寝るところなんてたくさんあるじゃないですか」

「年頃の女子を外で寝かせるわけにはいかん!」

 いや、こんなのいつもやってるから。あなたはお父さんですか?

「僕の部屋で構いませんよ。ねっ?」

 なんだその満面の笑みは。断りにくい……。

「じゃあ当分の間は総司の部屋な」

 えっ!? 私、まだ承諾してないぞ!?

「一時解散だ。あとで幹部たちと顔合わせをする」

 幹部?

「……はい。失礼します」

 私たちは局長室を出た。