私の渾身の睨みをスルーしながらケラケラと笑う赤髪の男に、小さく溜め息をつく。



髪色からして、一見不良に見えるこの男の名前は 赤木 裕馬(アカギ ユウマ)。



テストの順位が万年ビリという、正真正銘の馬鹿だ。



耳にピアスを空けているが、不良ではない。



どちらかと言うと、クラスのムードメーカー的存在で、男女どちらからも好かれる人気者だ。



他の女子から聴いた情報では、裕馬は結構モテるとか、どうとか。



あんな馬鹿の何処が良いのか私には分からない。



まぁ、大体アイツのお馬鹿発言には慣れているのだけど、


「俺、赤木って名字だからさー。これ似合ってるだろ?」


なんて、名字に『赤』が入ってるからと言う理由で髪を染めてきた時は、本気で殺そうかと思って危なかった。


こんなお馬鹿が幼馴染みなのだから、私は本当に運がない。