だって、2人とも、もし見つかったら、おしまいだからね。
中村先生は、今どこにいるんだろう?
どおしているの、中村先生。
梨杏、ちゃんと今拓夢くんと隠れているよ。
中村先生の父親の足音が凄く近くで聞こえる。
ベッドの掛け布団をめくる音が聞こえる。
拓夢が目を細め二戸 梨杏を抱き締めている手に自然と力が入る。
ーー兄さん、俺達もしかしたら見つかるかも。
ーー中村先生、私、……凄く怖い。
中村先生の父親の足音が向きを変えて少しずつ遠ざかっていく。
拓夢と二戸 梨杏の肩の力がストンと抜け、目線を合わせお互いに少し安堵の表情を浮かべる。



